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2008.04.28

「赤毛のアンへの旅」と貸出予約

 NHK3か月トピック英会話「『赤毛のアン』への旅 ~原書で親しむAnneの世界~」
 年末年始に「赤毛のアンへの旅」という特番があった。録画したまま見る機会がない。
 今回の3か月トピック英会話で採り上げるということも、英語をバリバリ学習している知人から教えてもらい、今のところは録画しているだけである。

 とはいえ、講師の松本侑子氏の著作を読みたいと思い、図書館でオンラインでリクエスト。
 ここで、首をひねる。「これってどうなんだ?」と思っている。以前から。

 松本侑子『赤毛のアンへの旅~秘められた愛と謎』日本放送出版協会, 2008.3
 Amazonの書影の帯にも「スペシャルガイドブック」とあるとおり、今回の放映の副読本なのだろう。
 出たばかりの本だし、リクエストが重なるのは当たり前だ。それでも待つつもりなので、そのことは自分にとって問題ではない。逆に踊らされて買うのは変じゃないの、と思っているので、時間がかかったってかまわない。

 ほかの、松本侑子氏の著作に予約を入れる。
 …なんだこのスカスカ状態は。同じ松本先生の著作だろう。類書もどうかと思う。
 どう考えればいい?

 図書館の利用者達は、放送『赤毛のアンの旅』に関する"このガイドブック"だけを読みたい、そういうニーズしか示していない。
 そう受け取らざるを得ないではないか。
 (自分のように)読んでみて、買う(かもしれない)のだろうか。
 松本侑子氏のホームページやら見ると、彼女がアン世界の時代背景の紹介や、文学解釈に力を入れ照らし直していることは明らかなのに。
 アンのファンはディープに過ぎて、このガイド以外のスカスカの予約状態の本は、もう既に読んでいる、ということなのか?(これはさすがに深読みだろう。)
 類書は、買いに走っているということなのか?(最近刊にはリクエストしておいて???)

 こういう図書館(文献)利用の状況。
 ツールや、制度は便利になっていっている。今回OPACでは、著者名「松本侑子」でも、ほかの「赤毛のアン」で内容細目でヒットした「へえ」と思える本も多かった。
 にもかかわらず、市民のみなさん、ベストセラーの一点買い。
 いや、市民がこう言っているのだぞよと厳粛に受け止めよう。
 しかし、同じ読者として、嘆かせてもらう。

 ホームズ研究の諸先輩は、「そういう人はもちろんたくさんいて、人それぞれ。たかが趣味」と言いつつ、割合きちんとした「研究」っぽいところに足を踏み込んだら、「研究」のまねごとだけに、先行研究やら背景の広がりに視野を向けることは忘れない。学者の卵が集まっているわけではないのだから、互いに突っ込みつつ教え合う。
 そんな風景は、数十年前からあったはずだ。おそらく、ホームズの世界だけでなく。

 今の時代、これだけ発達した図書館ですら、貸本屋に貶めているのは誰なのか。
 そりゃ、利用者なんだろう。

 自分が属している自治体の公立図書館の利用者には、もちろん学生も混じっている。
 そんなに資料購入予算が潤沢ではないような、大学の学生が。
 学生が「調査研究」にまで届かない程度でもいい、幅のある読書をしていないとしたら、この国はどうなってしまうんだ?

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Comments

それ以外の小説の「赤毛のアン」のシリーズなどの予約はほとんどなくてすぐ借りられる状態だったという理解でよろしいですか?

かつての書店員時代の感覚から言っても、多くのベストセラー読者というのは、話題だから読んでいるというだけで、そこから発展してその著者の他の著作や、同じテーマの他の書籍を読むという例は極めて少ないという傾向はあるように思います。

いろいろ理由はあるのかもしれませんが、そもそもが好きじゃないからとか、そうでなくても出版点数が多すぎて誰もすべてを網羅できるわけもないという諦めとか、まあ本当にいろいろなのかなと想像しないわけではないですね。

恐らく、本当の意味で読書が好きという人の絶対数よりも、本に限らずあらゆる面で流行に乗っかっていたいという絶対多数の一般人の行動がその理由なのではないかなと思ったりします(衣食住もろもろ。とりあえず体験したぞという満足感)。

#ちなみにわたしは村岡さんの訳の時代ですが、アンはすべて読みました。新訳にも興味はあるのですが、まだ手をつけていません。

Posted by: ムムリク | 2008.04.29 at 11:20

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 ムムリクさん、貴重なコメントありがとうございました。 いろいろ考えて、長くなっ [Read More]

Tracked on 2008.05.06 at 09:15

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