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2008.01.31

政府と寄贈型図書館モデル・迷考

 さて次。「煙に巻くようなつぶやき」。
 以下の会話自体が、寄贈型図書館論者と著作権論者とどちらに荷担するものか、自分でもよくわかっていません。
 ただ、自分はこのような議論の延長線で、出版物と寄贈型図書館の問題を捉えたいと考えております。「図書館員として」。これが、以前の記事で「旧来の思考枠組」と述べた由来です(古い・ついてこれていない、という時点で、無駄な思考かもしれません)。

 「公貸権」論なりが論じられた頃、むしろ前夜でしたでしょうか。再販制がまだ論じられていた頃だったかもしれません。私は、図書館員の友人と、図書館と出版について議論していました。友人は、図書館員でありながら、これまた法学部卒でしたので、実定制度としての著作権法を無視できませんでした。
 当時のことですから、現在のそれと同様、とは誤解しないでください。状況も相当異なります。整理もされていません。2000年代に入って、出版界との議論の中で、以下の雑談は既に無意味になっている可能性もあります。そうであるなら、ご指摘ください。ぜひ、その文献をご指摘いただけるとなお幸い。

 私「(公立の)図書館が、出版物を購入するということは、出版界にとっては、政府による一定の支援になりうる。市場への介入。それが意図的であろうとなかろうと、"市場に対する政府の機能"としての側面はあって、特に地方・中小出版に対しては、図書館はそれなりの意義・役割はあるんじゃないだろうか。大きな出版社やベストセラーはこの際、議論の外」。
 友人「市民に対して「あらゆる資料へのアクセスを保証する」だとか「(ベストセラーだけではない)零細な言論(出版物)へのアクセスを用意する」というのなら、求める市民に対して、政府はお金を直接ばらまいたらいいんじゃないの?ブックスタートみたいにさ。「市民が読む」ことがそんなに大事なんだったらね。政府がそれを実現する方策が、「図書館」という手段でなければならない理由がわからない。実定的に確立された財産権に図書館が優先するという論理は、自分には簡単には見つからないな。基本的には「自分で買う」のが原則なんじゃないかな」。

 図書館が設置主体の経営に依存する以上、寄贈型図書館は、自治体の決断としてはありえます。矢祭町のように、自治体全体のポリシーが明確ならば、私は肯定できます(すみません、「明確らしい」くらいしか知識はなし)。しかし、それは例外です(自分に「例外だと考えたい」という願望があるということもまた、否定できません)。
 しかし、「政府がとにかく図書館に金をかけない」という流れに与するということは、自分は、とうてい「当然である」とは受け入れられないのです。「政府は"文化"に金をかけない」という判断をしていると思ってしまう。
 高齢化社会は予想されており、「図書館は福祉に対して勝てるだろうか?同じ自治体の中で予算獲得という名のお金の奪い合いをしなければならない。理由付けが起こせるだろうか?」という問題意識は既に十年前からありました。自治体から図書館に求められるものとして、「高齢者サービス」どころではなく「ニート対策」が優先順位の上位に来るとは思ってもみませんでしたが。

 設置母体に対して、図書館員は「資料費かけなくてもいいです」と言っちゃっていいのでしょうか
 実際的な問題としては、寄贈もまた、進めて収集していくべきでしょう。お金がないのだから、そうせざるをえません。収集対象は新刊本ばかりではないでしょうし。しかし、その現実的な対応と、寄贈型図書館モデルを称揚することとは、まったく別に思えてなりません。
 少なくとも、躊躇や検証はあっていいんじゃない?「公的セクターとしての図書館」についての学問的な積み重ねはあったはずで(疑念や「空洞であった」という指摘を含む)、それらの努力を抜かして誘導しているかのように見える議論には、いかに結論が正しかろうとも、荷担する心情にはなりません。

 いやー実際には寄贈って当たり前でさ…という数字的なところはあえて挙げませんでした、あえて今回は。
 もし挙げるのでしたら、どなたかどうぞ。それはそれでおもしろいと思います。

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