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February 2007

2007.02.12

「西尾幹二の…日録」更新停止。

 「西尾幹二のインターネット日録」が、更新停止となっていた(2月2日付「管理人からのお知らせ」)。
 記事としては1月25日付が最後で、「当分の間、休載」とあり、きちんとした説明がある。

 とりあえず、メモ。

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2007.02.13

ときわ台には通っていたパブがある

 常盤台といえば、今日のニュースで必ず触れていた、悲痛な事件の話。
 一週間前、たまたま点けた夜のテレビニュースで事件現場の映像が流れた。
 …わ、常盤台じゃないか!ずっと目が離せなかった。
 昔通っていたパブがあるので、見慣れた光景だった。見慣れた光景の異常事態。

 あとで忘れるといかんから記しておく。
 踏切そばの派出所勤務の警察官と、精神的に不安定な女性が通勤快速に轢かれた。
 自殺を口にしていた女性は一度派出所で保護されたが、再び踏切に向かい、それを追った警察官ともみ合いに。しかし、踏切内のセンサーは立ち往生した車など6秒間制止した物体でないと検知しない。女性の身体は線路上へ。警察官はホーム下の待避スペースに押し込もうとしたが、うまくいかず、女性を守る形で先に轢かれた。
 当夜はホーム設置の警報ボタンが押されなかったらしいと報道されていたが、その後押されていたことが判明している。警報ボタンが押されると、近づいている電車に伝えられ、運転台でブレーキ。止まるには100mかかる。運転士は警報よりも目視の方が先だったと言っていたという。ともかくも間に合わなかったということらしい。
 ホームからの落下を検知するマットが敷かれていなかったのは、確かに残念だ。

 その警察官が、6日ののち、昨日亡くなった。今日はまた、見覚えのある情景が流れた。
 たぶん、あの交番には道を尋ねに行ったことがある。
 亡くなった方にはお会いしていないはずだが、見知った交番だ。
 ご冥福をお祈りする。

 東武東上線は池袋から成増まで、ほとんどの電車が一足飛びにとばしていく。その途中にある常盤台は、各駅停車でないと止まらない。各駅停車は本数が少ないので、終電間際だと危ない。
 小さな駅で、逃げられるところもない。踏切からすぐにホームに駆け上がることができそうな。

 昔は新宿駅のそばに立派な「シャーロックホームズ」という名前のお店があったが、惜しまれながら閉店した。今自分が知っているのは東京近隣ではこの店だけだ。新宿のゴージャスな店もよかったが、こちらは地域の人たちがよく来ている風情の店。
 今度行くときは、あの交番の前を当たり前に通り過ぎるのだろうが―いや、ニュース映像で流れた、重傷の警察官に同僚の方が呼びかける必死な声。甦ってくるかもしれない。

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2007.02.14

目次:稲葉振一郎・立岩信也『所有と国家のゆくえ』

所有と国家のゆくえ
稲葉振一郎・立岩信也
NHKブックス, 2006.8

目次

まえがき

第一章 所有の自明性のワナから抜け出す

 1 社会の基礎に所有がある

福祉国家の概念を壊す 所有という根本問題 いまある仕組みを批判する 他者から始まる所有論 政治・経済の基本要素 私有に対する別の私有 「みんな」を起点にした議論の限界 批判・否定のしかた 分けてしまえばよいもの/分けられないもの

 2 どこまでが自分のものか

人とものとの区別 所有される対象とは何か 身体の捉え方 切離できないものが分配されない もっと繊細な決まりがある 左翼はどれぐらいかっこ悪いか

立岩―「分配する最小国家」について

第二章 市場万能論のウソを見抜く

 1 市場のロジックを検証する

人が必ずもつべきもの 人的資産の二重性 「売る」と「貸す」の区別 譲渡できるもの/できないもの 区別をどのようにつけるか 平等主義・保守主義 市場のダイナミズム 経済学が想定する初期条件 取引の自由は選べない 現状は現状維持なのか 二つのタイプの社会モデル 市場から所有へのフィードバック 市場社会の不幸な事故

 2 分配の根拠を示す

結果の平等はなぜ評判が悪いのか 歴史原理と状態原理 嫉妬感情の正当性 再分配という発想 市場原理主義の矛盾 社会のダイナミズムと安定性 「物価」は安定していた方がいい 市場に対する制限 国家がやるべき三つのこと

第三章 なぜ不平等はいけないのか

 1 平等をどのように規定するか

分配のために、まず国家は要る 分配的正義と搾取論 ローマーの「機会の平等」論 機会の平等と結果の平等 効用の個人間比較 フェアネスとは何か ゲームのルールにみるフェアネス 労働を分割する 能力の差をどう組み込むか アソシエーショニズムとは何か 統制経済の失敗から学ぶ 「国家が」でも、「自分たちで」でも、うまくいかない 国境を超えた分配

 2 マルクス主義からの教訓

マルクス主義の二枚舌構造 分析的マルクス主義者の青写真主義 何をするか、しないかを考える 乱暴に考えないこと 実効可能性について 合意は大切だが合意でしかない 体制変革論の気分的な根拠 搾取理論の問題点 不平等こそ問題である 人間改造思想への危惧 マルキシズムおよびマルクス 変革のもとについて 世界主義

 3 権利は合意を超越する

ノージックの権利論 規約主義と規範主義 思いを超えてあってほしいという思い ノージック、ロールズ、立岩理論の違い 経済学の世代間取引モデル 次世代の問題をきちんと取り込む

第四章 国家論の禁じ手を破る

 1 批判理論はなぜ行き詰まったのか

国家論の歴史 「国家道具説」から「相対的自律性」へ 批判理論の閉塞感 フーコー権力論の衝撃 悪者探しの無効化 フーコーの隘路から抜け出す 国家は単一の実体ではない 仮想から始める国家論

 2 国家の存在理由

なぜ国家があるのか ルーマンの憲法学的な構想 権利の基底性 実定法の外側にはみ出すもの 不平等批判の正しいかたち 肉体レベルに根ざす不平等感 ドゥウォーキンの補償理論 本当に国家に責任はないのか 責任を問うことの不毛さ 法的に呼び出される国家 国際秩序について

稲葉―経済成長の必要性について

立岩―分配>成長?―稲葉「経済成長に必要性について」の後に

註釈

参考文献

あとがき

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2007.02.16

目次:長谷部恭男・杉田敦『これが憲法だ!』

※2/15読了。2/23公開。

これが憲法だ!
長谷部恭男, 杉田敦
朝日新書, 2006.11

目次

まえがき

第1章 憲法はデモクラシーを信じていない

 1 立憲主義とは何か

なぜ新しい立憲主義か/公と私を分ける/天下国家の議論は私的なおしゃべり?/価値観の対立の先鋭化/ハーバーマスとロールズ/イスラムとヴァチカンの場合/

 2 デモクラシーは立憲主義と対立するか 

改憲はしょっちゅうしたほうが民主的?/憲法の条文には「原理」と「準則」がある/憲法は酔っぱらって書かれた?/アメリカ憲政史上の三大改革期/改憲がないと物足りない?/環境権は書かなくていい/社会権は立憲主義の夾雑物?/戦争が福祉国家を必要とした/国民主権VS.国家権力/憲法は行為規範か?/カール・シュミットの人権観/憲法を「おふれ」だと思っている政治家/デモクラシーの暴走を止める

第2章 絶対平和主義は立憲主義と相いれない 

 1 九条の何が問題か

絶対平和主義ではなぜいけないか/個人の自衛権から考える/憲法学の主流は「群民蜂起論」/民衆が戦争を求める/軍の正統性を制限する/敵が攻めてきたら逃げる/九条は準則でなく原理である/憲法解釈は「芸」である/法律家共同体のコンセンサスが破れている/九条を専門家に任せたくない/人道的介入をどうするか/九条で世界は平和になるか/九条は歯止めになっているか/憲法解釈はブレないほうがいい

 2 日米安保と憲法の関係

日本は西側陣営の一員として冷戦を戦った/同盟関係は憲法が決める/憲法が変わって戦争が終わる/憲法が国際関係を変える?/改憲は体制の選択である/憲法原理の違いは超えられるか

 3 愛国心とセキュリティー

憲法パトリオティズム/ネーションを遮断できるか/多数派の幸福のために排除される人々/助ける義務はない/国民はわかっていない?/自由より安全を求める人びと/小さな政府とデモクラシー/劣化する民主主義

第3章 憲法解釈はだれのものか

首相公選制と大統領制/対決型か調整型か/新興国におすすめの日本型議院内閣制/裁判所の違憲判断が少ない理由/内閣法制局が邪魔をしている?/連邦制論議はなぜ盛り上がらないか/憲法裁判所待望論の不思議

第4章 絶対的な権利なんてない

どこまでがプライバシーか/カメラなき監視社会/公人と私人/二重の基準/経済の自由と精神の自由、どっちが偉いか/憲法の及ぶ境界/難民が続々とやってきたら/なぜ権利ばかりで義務がない?/権利は何でも主張できるわけではない/憲法に書かれていないこと

第5章 あらゆる憲法は「押しつけ」憲法である

憲法は国家という法人の定款/憲法は社会契約ではない/憲法は「調整問題」の解である/「人類普遍の原理」なのか/アメリカもフランスも「押しつけ憲法」?/子どもには教えられない話?/だれに押しつけられたのか/大日本帝国憲法は調整機能が悪かった/憲法帝国主義

第6章 憲法をいま変えることは無意味である

国民投票法案の問題点/改正か、新憲法制定か/憲法典フェティシズム/癒やしのための改憲?

あとがき

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2007.02.19

鎌倉文学館「鎌倉文庫とその時代」を見に行った(1)

※3/1早朝に公開。鎌倉文学館を訪ねたのは、もっと前。

 企画展「収蔵品展 鎌倉文人録シリーズ 1 貸本屋鎌倉文庫とその時代」
 期間:2006年12月8日(金)~2007年4月22日(日)
 鎌倉文学館のページはこちら。Wikipedia「鎌倉文庫」。
 ついでにNPOによる鎌倉の情報ページ

 この企画展、どこでポスターを見かけたか。展示自体には期待していなかったが、期間も長いので頭のどこかに入れていた。
 子どもが「鎌倉の大仏さまをまた見に行きたい」と口にしていたので、大仏のついでにでも行けたらいいなと思ったのだ。
 新潟に比べると関東の冬は、圧倒的にお出かけによい季節。今シーズンは暖冬だけれど。

 子連れで歩くには鎌倉は、歩道が整備されておらず危ない。
 鎌倉は市内あちこちに見どころがあって、歩いてみると街の風情を知ることができていい。しかし、定番のJR鎌倉駅から鶴岡八幡に至る道路ならさすがにきれいで余裕があるけれど、例外のようだ。

 鎌倉文学館は、立地と建物がいい。なんと言っても貴族のお邸である。
 敷地内に石のトンネルがある。くぐってまがった坂道を上ると、きれいな建物。下足を脱いで上がる。フロアガイドの写真を見ていただくと屋内の雰囲気が伝わると思うが、「なんと言っても貴族のお邸」だ。
 あとで庭に出て子どもとおにぎり。庭は斜面になっていて、足元にはバラ園。遠くに由比ガ浜を望む。

 常設展もおもしろい。文人で描く鎌倉の歴史といった感。
 名前が即頭に思い浮かぶのでもないのだが、国語の教科書に見かける人のほかにも著名人がたくさん。フクちゃんの横山隆一とか。
 一番印象深かったのが、文人の住まいを点で打った鎌倉市の地図。数え切れない。
 鎌倉の歴史自体が江ノ電とともにあったらしいから 、展示でモノゴトの推移、地図で地理的な配置がなんとなくわかったような気がなる。横須賀線と江ノ電の駅の位置関係を見て、えーこんなに狭い範囲によくこれだけ有名人の住まいがあるなんてなあ…と。

 鎌倉文庫は、貸本屋といっても特殊なんだろうなと思う。
 終戦間際の貧しい状況で文化人が蔵書を持ち寄って開いた文庫だそうで、わずか数年でなくなった。しかし、その後の鎌倉の文化事情に影響を与えた…といった構成になっていた。
 ポスターのフクちゃんがいいよね。「ダレガナントイッテモ本ハタイセツニシヨウトボクハオモヒマシタ」。わが家の小さな読書家クンに読んでもらいました。

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2007.02.20

鎌倉文学館「鎌倉文庫とその時代」を見に行った(2)

※3/1夜に公開。

 展示をひとわたり見て、階下の一角に「レファレンスルーム」。
 入ると右手に机がひとつ、左手に事務室、正面にカードボックス。
 目前で存在感を発揮しているカードボックスを引き出し、どんな資料があるんだろう…と眺めていたら、子どもがドアの開いていた事務室の女性に声をかけた。コンニチワ!
 それでつい、話し込んでしまう。向こうも悪い気はしなかったらしい 。子どもがいて、助かることもある。

 カードには普通の本、文学全集等々が収められていた。メインのフロアは展示を中心とした空間の使い方をしていたので、自然と聞いてみたくなったのだ。「資料、どこにあるんでしょう?」「何点くらい?」「収蔵スペース、大丈夫ですか」。だって、事務室も狭かったものなあ。
 点数は忘れてしまった。三万点だか三千点だったか。図書館じゃないから、毎年そんなに増えないし、点数に比べると厚みのない手紙等が多いが、それでも収蔵庫計画はやはりきびしいらし い。
 カードボックス―データベース化の予算がないのだ。さすがに事務室にパソコンは置いてあったが。

 鎌倉市の図書館は直営である(図書館員の側からすると、相当大変なお客さんが多いという話を聞いたことがある)。
 対して、鎌倉文学館は、指定管理者制度が導入されている。最近ようやく安定してきたそうだ(→※(3)へ続く)。

 入口近くのミュージアムショップに立ち寄る。
 わずかな金額でも、ぜひ協力させてもらおう。建物の雰囲気がいいから、グッズも悪くない。
 鎌倉文学館刊行のシリーズ「鎌倉と文学」という本。小さくて持ち歩きにもよさそうだけど…ガマンガマン。
 おお!?角野栄子「魔女の宅急便」原作版デザインのレターセット!
 前年の企画展のときに作ったものだそうで、最後の在庫処分だった。
 色違いで二組、購入。

 門を出てしばらく。普通の住宅の勝手口でやっている小さなパン屋さんで気がついた。…小銭入れを落とした…。ドジっっ!!
 文学館に電話をし、探しながら戻る。坂を上り、バラ園(の地面)を見て―さっきレファレンスルームで話をした職員の方がちょうど庭に出て来て、見つけてくれたところだった。おにぎりを食べていて落としたんじゃないかと思ったが、どんぴしゃり。
 最後に、妙に記憶に残ることを、しでかしてしまった―。

 鎌倉文学館、おすすめです。

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2007.02.21

鎌倉文学館「鎌倉文庫とその時代」を見に行った(3)

※3/1深夜に公開。

 あれー、鎌倉芸術館の指定管理者と違うんだっけ…と思い、検索してみた。
 芸術館の指定管理者「サントリーパブリシティサービス」「鎌倉文学館」あとひとつ、単語を付け加えた気もする(が、何だったっけ)。

 職員の方が仰っていた「落ち着いてきた」って―こういうことだったのか。気が滅入る。

 わかりやすい記事
 元の記事
 そもそもの記事
 元の記事の過去記事1
 元の記事の過去記事2
 その後の鎌倉芸術館の評価

 不勉強を恥じて、「鎌倉芸術館 自殺 指定管理者」でGoogle検索。
 57件。ノイズ多すぎ。検索ヘタクソ!でも、57件でしかない。

 指定管理者制度に詳しいウォッチャーはまだしも、話題になっていないのねえ…。
 最初の記事から鎌倉市長のプロフィールへ飛ぶと、元の記事の過去記事でゴニョゴニョ言っているのが少し得心がいく。

 指定管理者制度であろうが従来の財団であろうが(自治体直営であろうが)、鎌倉文学館のレベルを落とさないような、評価と職員の確保は大事だと思う。
 あの展示とそのバックヤードを想像するに、それだけの仕事をしているスタッフであろうと素人目に思うのだが、どうだろうか。

 文学館の地図を見て、それから大仏を見に行って。
 鎌倉市という一自治体で、あれだけの文化財を維持していくのは無理があるよなあ…と思ったのが発端だったのだが。
 誰か、お金持ち!なんとかしてよね。ミュージアムショップでささやかなお金を落とすことで自分の満足を表すことしかできない身としては、こんな場末でつぶやくしか、ない。

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2007.02.22

『それでもボクはやってない』(1)

※3/11公開。ネタバレなし。公式サイトによると3/16迄ならやってる映画館がある。

 監督・脚本周防正行 『Shall we ダンス?』から11年ぶり。
 配給:東宝 上映時間:2時間23分

○観客
 自分が見た回は、満席に近かった。
 暗い中、笑うところで聞こえる声は、割と余裕のある声。
 終わって明るくなってから見まわすと、中高年の男性が多かった。女性が少ない、と言ってもいい。
 年齢構成が普通の映画と違うようだ。他に見に行った方の話でもそうだった。

○パンフレット
 映画館で売っているパンフレットは2種。
 いわゆる「プログラム」と、『それでもボクはやってない【完全シナリオ・ブック】』。各600円。

 後者は、「より理解を深める用語解説付き」(帯)。司法監修:工藤裕之弁護士(城北法律事務所)。
 なお脚本は、周防正行『それでもボクはやってない 日本の刑事裁判、まだまだ疑問あり!』幻冬舎, 2007.1.にも収められている。

 前者は、改めて見ると字が小さい!資料性充分。脚本は、周防監督の幻冬舎の本でよかったかも。
 以下、目次。

 周防正行監督コメント
 ストーリー   ※表「逮捕から判決まで~徹平の1年~」あり
 人物相関図
 周防正行監督インタビュー   ※表「この11年間、監督はどんなことをしていたんですか?」あり
 キャストインタビュー   ※メインキャスト5名
 33の素朴なギモンQ&A   「※物語の結末に触れている項目もありますので、鑑賞後に読まれることをおススメします」。もっと大きく書いてね…。
 撮影現場リポート

○感想その1
 監督「主人公は裁判」取材の成果から忠実に再現したという(但し、現役の裁判官、検察の取材はできなかったそう)。
 「有罪率99.9%」「代用監獄」「書面審理主義」は、知識としてはあったけれども、実際の刑事事件の形で提示してもらった点、説得力が感じられた。
 最後のシーン、そりゃそうだろ、と思う。出た判決に納得するかどうかではなくて、主人公の視線を表すカメラワークとモノローグ。それがコワイんだけど。あのシーンを突きつけたところが、秀逸だなと思う。

○感想その2
 外国で試写。日本の刑事裁判の現状を訴えようという意気込みに、手応えありとしている。
 日本固有の「満員電車での痴漢事件」に「欧米なら満員電車を運行している鉄道会社を訴える」と相手してしまっているが…返すポイントはそこじゃないですよね、監督。
 日本は、そんな事件に外国人のあなたも巻き込まれたら最後、有罪にされかねない。コワイ国なんですよ、と。
 あちこちで感想を見ているが、どうも、痴漢冤罪の問題にされてしまっているのが不満だ。

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2007.02.23

『それでもボクはやってない』(2)

※3/11公開。

・自分が見に行こうと思ったのは、新聞のインタビュー記事だったろうか。今ネットを探しても見つからないのだが。聞き手と監督の「この映画は、主人公の徹平が本当にやったかどうかは、観客の視点からはわからないように描いてあります」というやりとりがあったからだった。「裁判映画として、こうした視点は初めて」。ふむ、これなら「裁判という背景を使った映画」ではなくて、楽しめそうだ。

・痴漢を採り上げたのは、裁判を描くひとつの手段、という位置づけ(監督の最初のきっかけがそうだったということもあるだろうが…)。軽微な扱いを受けている、日常に近く誰もが巻き込まれる可能性が高い事件。

・プログラムに書いてあったこと。なぜフリーターの青年にしたか。
 脚本は家族持ちのサラリーマンのバージョンを書いて「これじゃ家族や会社の重みが…」それからフリーターのバージョンを書いた。それぞれ5回書いて決められなかった。両方の版をスタッフに示したところ、同数でまっぷたつ。自分で決めるしかなくなった。

・プログラムに書いてあったこと。キャストはそれぞれ違うやり方で決めたが、「裁判が主人公」の脚本をしっかり書いたので、キャラクターの肉づけはそれぞれ役者の力量・個性による。

・プログラムに書いてあったこと。痴漢という女性に対する犯罪に対し、被告人側に女性を配している。母親、元彼女、担当弁護士。男性の誰もが被告人に立たされる可能性をもつ以上、被告人の家族にもなりうる。女性にも裁判を身近に感じてもらいたい、という。

・役所広司は好きだ。出てくるとつい安心感を覚えてしまう。中学時代、NHKの宮本武蔵をずっと見ていた。おつう役が古手川祐子。学校の図書館で吉川英治の原作を揃えてくれたので、読んだ。初めての時代小説。今回、老け役もやれるのねー。『Shall we ダンス?』もずいぶん前になっちゃったけど…。あれから自分が思い出せるだけでも、『失楽園』『うなぎ』『THE有頂天ホテル』『ローレライ』とまあ、よくやってらっしゃる。

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2007.02.26

目次:佐々木俊尚『次世代ウェブ』

※3/3公開。

次世代ウェブ グーグルの次のモデル
佐々木俊尚
光文社新書, 2006.1

目次

プロローグ

思いつきから生まれたビジネスの種/仮想通貨が急成長をもたらす/「ジジイキラー」能力の第一世代、営業力の第二世代/秀逸なビジネスモデルに加えて高い技術力―第三世代

第1章 源流―「おせっかい」なビジネスモデル

明確な定義はない「Web2.0」/進化の必然的帰結/困難だったナレッジマネジメントの導入/Web1.0の時代に集合知モデルを先取り/「集合知の世界では、商品力こそがすべてだ」/ウェブサイトが成功するための三原則/多くの中小・零細企業はネットとは無縁/商圏の壁をいかに突破するか/「世界知識資産」/「オレはなあ、寂しいんだよ」/突然の高成長の理由/インフラとしての集合知モデル

第2章 進化―復古運動としてのWeb2.0

カネだけが大量に集まった幼年期のベンチャー業界/P2Pの威力と可能性/成長するベンチャーに共通する三つの特徴/アマゾンだからこそ可能なモデル/プラットフォームかしつつあるロングテールによるマッチングビジネス

第3章 変化―「地主制度2.0」と楽天の岐路

楽天はWeb2.0企業なのか/プラットフォームになるには「地主」にならなければならない/「地主」としてのグーグルとアップル/垂直統合モデル成功の背景/従量制への大転換/楽天が「中抜き」されてしまう可能性/ニューエコノミー的収奪/三次元的思考の欠如

第4章 融合―交差するヤフーとミクシィ

失敗続きだったコミュニティ・ビジネス/行き詰まった「収穫逓増の法則」/コスト意識に乏しかった九〇年代のベンチャー/危機感を募らせるポータルビジネス/SNSの本質は人間関係/情報の巨大な海から必要な情報をすくい上げるUFOキャッチャー/ゲーム2.0/ソーシャルの概念を持ち込んだオンラインゲームの可能性/SNSの世界では民族性が非常に重要なファクター/リアルマネーと兌換可能な仮想通貨/RMT問題/SNSの次のステージ

第5章 期待―グーグルを超える「UFOキャッチャー」

二〇〇七年の主なテーマ/合従連衡を繰り返した初期の検索エンジン/グーグルが制した二つの競争/「過去の履歴」の限界/母集団の増加は衆愚化を招くのか/ビジネス寄り、文系寄りのソーシャルニュースコミュニティ/ゲマインシャフトのサービスへの取り込み/「メタRSSリーダー」や「メタブックマーク」への期待/占いによる心理・行動分析は有効/内なる精神的志向、心理までをも取り込んだアプローチ

第6章 鉱脈―「リアル世界」に進出する日本の検索エンジン

失敗を繰り返してきた経産省に対する不信感/点在する「リアル世界」の技術を検索/仕掛け人はネット業界出身の官僚/来るべきデータベース極大化社会/縮小するテレビCM市場/日本にグーグルが生まれなかった理由/世界を覆い尽くしつつある「無料経済」

第7章 進出―「無料経済」下の収益モデル

アテンションエコノミーの世界での利益/ミュージシャンがカネを払って、利用者は無料で聴くシステム/冗長性が失われれば、コンテンツの質は低下していく/新しかったはずのコンテナーモデルが権威化/時期尚早だったネット配信サービス/緩やかな連邦政府構想/ネットがリアル経済へと進出していく現場

第8章 打破―キーワードは「リスペクト」

「ネットでの工作活動」との批判でブログ炎上/プロセスの可視化に対する要求の高まり/アフィリエイトのロングテール現象/書きやすさの度合いに応じて単価も変わる/企業にとって絶好のプラットフォームとしてのブログ/「地主制度2.0」打破のカギ

あとがき

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2007.02.27

目次:山田真哉『女子大生会計士の事件簿 DX.1』

※3/12公開。

女子大生会計士の事件簿 DX.1 ベンチャーの王子様
山田真哉
角川文庫, 2004.10

目次

監査ファイル1
<北アルプス絵はがき>事件 ―簿外入金・架空出金の話―

監査ファイル2
<株と法律と恋愛相談>事件 ―債務保証・商法の話―

監査ファイル3
<桜の頃、サクラ工場、さくら吹雪>事件 ―未収入金・未払金の話―

監査ファイル4
<かぐや姫を追いかけて>事件 ―固定資産の話―

監査ファイル5
<美味しいたこ焼き>事件 ―売掛金の話―

監査ファイル6
<死那葉草の草原>事件 ―土地の評価の話―

監査ファイル7
<ベンチャーの王子様>事件 ―SPC(特別目的会社)の話―

監査ファイルEX.
女子大生会計士の事件後

おわりに
DX.版へのあとがき
やさしい会計用語集

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2007.02.28

目次:藤田千恵子『愛は下克上』

※3/12に公開。

愛は下克上
藤田千恵子
ちくま文庫, 1996.7

目次

日本海の誓い
フトンの上京
風になりたかったのに
ワープロは最初の男か
それってサイテー
東京湯治・浅草観音温泉
喰らう幸せ不幸せ
エアロビクスシューズ……だってば
おうちがだんだん遠くなる
めまいのする入浴
冷やしちゃいけない
分譲住宅地に風が吹く
あたしは借りが嫌いなの
東京湯治・小岩湯宴ランド
動かぬ証拠
大岡裁き・皿うどんの巻
冬の蚊と瓶ウニ
シブヤ金融道
自転車に乗って
父のお宝
東京湯治・姫の湯
酒は流れる電車は走る
愛の宅配便
似た味
琵琶湖は恩讐の彼方に
講座「小説作法」
酒とリアルワールド
あの人どうしているかしら
東京湯治・神田稲川楼
冷蔵庫に乗った王子
おじさんになっていく
五年前の日記
『時雨の記』について
荒木陽子追悼
一緒にいるわけ
顔の話
ドナドナドナ
女のダンディズム
甘えのからくり
相談ごと
タガがはずれる時
重大な話
コワイこと
愛は下克上・序章 高崎山にて
愛は下克上
あとがき

文庫版あとがき
解説 藤田千恵子の「幸福」の定義について 黒川創

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