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2006.01.26

感想:南條竹則『ドリトル先生の英国』

DollitleinBritain ・目次はこちら
・子どもの頃熱中した。が、最後の数巻は未読。数年前、差別語狩りに遭うと聞いて、岩波少年文庫版を中古で購入してある。
・図に採られた作者ロフティング自身の手になる挿絵に惚れ直す。自分が最初に出会ったのは、学研の児童文学全集に収められた『航海記』で、水上勉の絵だった!これまた魅力的だった。実家に残ってるかな…。
・「ドリトル先生物語」もまた、19世紀イギリスのジェントリの話だった。ドリトル先生は全然ジェントリらしくないが、やはりその歴史的社会的背景を知って読み込むというのは非常に興味深い。これぞ知識人、大人の子ども読み!という感じ。大人になっても、なったからこそ、作品への愛情がじわぁっと伝わってきた本だった。訳に携わった石井桃子、井伏鱒二についてあとがきでまで語ってくれているが、これ「あとがき」じゃないよ絶対。
『ガブガブの本』、ほしくなった!南條さんの訳。いい仕事してる。こういうの見ると、出版産業って金儲けだけじゃ絶対やれないよなーと思う。

・第一章 第一次大戦下1920年代の執筆。パドルビーがどこか。ロフティングは1886.1.14.バークシャーのメイドゥンヘッド生(ロンドンから近い)。家と庭に見るジェントリとその逸脱者の生活。博物学・進化論の時代(1828年ロンドン動物園inリージェント・パーク)。『航海記』の始まりは1839年に設定、ダーウィン以前(『種の起源』1859年)。
・第二章 「ハーレクインの無言劇」に必ず出てくるパンタローネ、アルレッキーノ、…、コロンビーナ(どこかで耳に…)。「パンチとジュディー」に必ず出てくる犬トビー(トビーはホームズに出てくる犬の名前)。quacksalver(『閃光のハサウェイ』)。ビーチャムの丸薬。パガニーニ。
・第三章 平田禿木『古英国卓上暦』四季折々の英国定番の美味。ウミガメのスープ(『エマ』)。パセリならぬオランダボウフウの訳。アニメ版ジャングル大帝をひきつつ「ドリトル先生は菜食主義者ではない」。
・第四章 英国と独身者(『独身者の思想史』)。
・第五章 『航海記』1923年ニューベリー児童文学賞受賞。スタビンズ君は下層階級の出。猫肉屋と『ロンドンの街の声』。上流階級の狐狩り。動物たちに描き出された階級意識、ことば。ジャック・ロンドン『どん底のひとびと』。「貧乏犬のためのイースト・エンド無料骨店」「引退した辻馬車馬、荷馬車馬の会」「雑種犬ホーム」。「ネズミ・クラブ」の会員は初め五十匹だったのが、ネズミ算式に増えて五千匹になった。Mooniversary。
・第六章 バンポはオックスフォード大。ドリトル先生の博愛主義の困難。月の三部作にみるラヴクラフトの「宇宙的恐怖」。
・第七章 『秘密の湖』の文学的失敗。ノアと旧世界への絶望。マシュツ王=ヒトラー。コールリッジの詩によるしめくくり。

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