« 自薦記事紹介:ノート・法律学方法論 | Main | Starbucks、いまさら初体験 »

2005.10.28

三人の法律専門家と続くのまネコ「論争」

 「のまネコ問題」と書くと、正確ではない。
 「のまネコ問題」に出てきたアスキーアート「モナー」を、「墨香オンライン」というゲームに登場させるにあたって、avexのように問題とならないように講じた解決策について、三人の法律専門家がそれぞれ意見を交わしたということ。
 「墨香オンライン」の解決策と三人の法律専門家、という方が正確かもしれないが、「のまネコ問題」から飛び火した話題なので、かくのような標題に。
 また、ここで紹介するのは、「のまネコ問題」ではそれぞれ記事を書いていた三人の法律専門家が、ひとつところで議論しているさまは、ともあれ、非常に希有な貴重な記事なんじゃないかと思うからです。それだけ面倒な問題であるようにも、自分には見えました。

 まとめサイトじゃないけど、整理してくれているところがあるので、まずこちらをお読みになることをお勧めします。こちらはコメントまでは見なくていいでしょう。
 音極道茶室:Matimulog:「墨香オンライン」エントリーコメント欄の議論を徹底解説する

 その上で、問題のエントリ。整理記事を前提に、要所要所で各専門家のコメントをご覧ください。
 Matimulog:墨香online論議とフォークロア
 Matimulog:モナーと墨香問題についてcommentを受けた再考
 ひとりが、「使える条文があるのに使わないのはおかしい」「元々権利もないんだから(ショバ代みたいなモンを払う慣行が根付いてはまずい)」、と強い異論を述べている。小倉秀夫弁護士である。

 ひとこと自分の感想を述べておく。「彼はいちゃもんを付けているように見える」。
 だってさ、avexのときにもほとんど類似のことが言えたんじゃないの?権利者不詳の場合の文化庁長官裁定制度って、国会図書館とかが電子化のときとかに使ってるヤツだよね。それ、avexが著作権者不詳のモナーを改変させたときに探すためにやらなくてもよかったのかな?(不勉強で申し訳ないが)「二次的著作物にしたんだからいいんだ」ってんだったら、なおのこと納得できない。
 要するに、倫理的な問題は別にしてしまって、「法律的(法技術的)にぎりぎり問題なし、だからいいんだよ」って論じゃない。それ、法律万能主義でしょ。
 そのつもりがなくても、「実定法外のところで話をつけてしまうのはねえ…」なんて言っているのは、法曹という立場で一段上の視点でことを言っているように聞こえてしまう。法律の世界の外にも、世界はあるんだ。法律の世界は、問題解決のone of them。
 で、今回の「のまネコ問題」は、法律の問題じゃないところで問題になったんだし、「墨香オンライン」の解決に法律の専門家が当事者でもないのに「法律的観点から問題だ」と口を挟んで喚いてる状態は、単なる第三者なんでしょ?と言って終わり。当事者は、小倉弁護士自身が言うように、モナーの著作者であって、小倉弁護士じゃない。

 ドイツ歴史法学を継いだ、「概念法学」と揶揄された学派は、「制定法実証主義」に陥った。「法の欠缺」を認めず、制定法の解釈による概念体系の無謬性を誇ったからだった。
 確かに、法は理論上、神も動物も扱うことができる。言語によって表すことができる以上、あらゆる概念を無限界に扱うことができる。
 しかし、現代の法が目指すところは、「現実に目前にある実定法の欠缺の冷静な認識」と、「近代法の役割・限界を自覚的に認識し、人々の自由な社会秩序形成に委ねること」ではないだろうか。
 法の専門家は、法律の現状を冷静に語っている分にはいい。けれど、法の欠缺を淡々と指摘するだけにとどまらず、かつ既存の不備な法律をのみ前提に解決策を探ろうとすれば、法以外の現実を見ない「概念法学」「制定法実証主義」と揶揄されてもしかたがない。それも、「法律の専門家」として振る舞えば振る舞うほど、解決策を提示しても、一般の人々を説得できるかどうかはあやしいだろう。

 念のため断り書き。もしあちこちからコメントいただいても、あまり返せません。理由は10.9.付記事を参照ください。ほかの記事にいただいたコメントに返してもいないので、ごめんなさい。

|

« 自薦記事紹介:ノート・法律学方法論 | Main | Starbucks、いまさら初体験 »

パソコン・インターネット」カテゴリの記事

学問・資格」カテゴリの記事

Comments

The comments to this entry are closed.

TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 三人の法律専門家と続くのまネコ「論争」:

« 自薦記事紹介:ノート・法律学方法論 | Main | Starbucks、いまさら初体験 »