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2005.08.12

GHQ没収指定図書総目録関連文献紹介(8)―『略奪した文化』を読む : 7

 松本剛『略奪した文化 戦争と図書』岩波書店,1993.

 第6章に描かれたGHQ没収指定図書総目録の周辺を見てみよう。
 いかに複雑に要因が絡み合って「焚書」が図書館に至ったことがわかるだろう。

 ナチスによる焚書をきっかけとして起こった日本での焚書、中国での過去秦代以来の各王朝下と異なる日本占領下での焚書を描いたあと、GHQ占領下日本での焚書の項に入る。

 図書没収命令にともなう焚書の前に、既に混乱は始まっていた。
 「軍部や政府機関、県庁、市町村役場が敗戦と決まったその日から文書を焼きはじめたことが、国民に占領軍の恐ろしさを印象づけることになり、これがその後の図書の焼却を不必要に拡大する一因となった」(p.208)。
 修身等教科書の回収命令では、「教科書」のほか「参考書」という用語が拡大解釈された。「図書回収の任にあたる者がかつての特高警察あがりの者であったような県では、とくに被害は大きかった」(p.209)。
 「この教科書回収命令は二つの問題をひき起こした。第一は、この後に出される宣伝用刊行物の回収命令と同じく、学校現場から回収対象となっていない図書まで回収または破棄させたことである。第二は、この命令は次に述べる軍国主義的図書の没収命令と時期的に重なるところが大きく、このため、両者が一体となって一部で始まった焚書をいっそう拡大したことである」(p.211)。

 宣伝用刊行物の没収命令が「焚書」であったことは本書でも肯定している。
 ところがその没収命令の覚書第四項の経過、「占領軍の命令は当初から同じものであったにもかかわらず、日本側の命令は…改訳も含めて、四転した」(p.217)。さらに「日本政府がこの没収命令を…図書館にも適用した…。しかも、命令を受けた図書館側には、占領軍に対する「恐怖感」があった。図書館では没収命令の対象になっていない本まで処分した。このことは占領軍の予想外のことであった」(p.217)。
 「このような図書破棄=焚書の実態は、図書館関係者には広く知られていた。「これ[占領軍の図書処分の通達]によって学校や図書館では可成り大きく周章して殆ど大部分の蔵書を焼却その他廃棄したところが多かった」」(p.218)。
 「アメリカ軍はこのような状況をみて、「最高司令官指示により特に禁止されたものを除き如何なる書籍も何分の指示あるまで、日本の学校図書館より没収してはならない」という指令を軍政部に出した。また文部次官は、この指令を全国の官公私立大学長、高等専門学校長、県知事に伝えた。しかし、「焚書」は文部次官の一片の通知でやむようなものではなかった」(p.218)。

 最後に、第6章「四 日本での焚書拡大の背景」をそのままファイル化しておく。「hunsho.PDF」 きわめてよくまとめられている。

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