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2005.08.09

GHQ没収指定図書総目録関連文献紹介(7)―『略奪した文化』を読む : 6

※8/10に書いています。

 松本剛『略奪した文化 戦争と図書』岩波書店,1993.

 さてようやく、第6章である。冒頭から、わかりやすい類型が述べられている。

 戦時下での直接的な図書焼失には、…、略奪によるもの爆撃・戦闘によるもの焚書によるものがある。これまでわれわれは第一と第二の図書消滅について考察した。本章では、第三の形態を日本と中国について取り扱うことにする。

 第6章目次は以下。

 一 戦時下日本での焚書
 (1) 出版社の焚書
 (2) 学生及び教授の焚書
 (3) ナチスの焚書に対する抗議運動

 二 中国での焚書
 (1) 日本軍による焚書
 (2) 中国人による焚書
 (3) 占領下中国での焚書の特質

 三 占領下日本での焚書
 (1) 公文書の焼却
 (2) 軍国的図書の焼却
 (3) 図書没収命令に伴う焚書
  (イ)修身等教科書の回収命令
  (ロ)軍国主義的図書の没収命令
  (ハ)宣伝用刊行物の没収命令
   a 没収命令の経過
   b 複本のみ回収か一冊のみの場合も回収かの問題
   c 没収命令に対する図書館の過剰反応
   d 大学・専門学校での図書処分の例
  (二)「民主化」措置としての宣伝用刊行物没収

 四 日本での焚書拡大の背景

 本シリーズで直接関係するのは、三-(3)の(ハ)と(二)、四である。
 しかし、本章で述べられている、その背景となったそれまでの経過を見るだけでも堪えないものがある。ナチスで公けに二万冊が焚書されたということが日本での「焚書」の発端となっているが、戦時中・日米占領下での焚書はそれ以上にひどい。文字が書かれているものならばなんでも危険、という風潮を引き起こしてしまい、結果個人蔵の焚書にまでつながっているのだ。その結果が宣伝用刊行物の没収命令での「自主的」焚書である。
 本書で述べられているのは日本軍の非道な措置がその元々の背景となっている、という点からは「自虐史観」なのかもしれぬ。ぜひ、資料という名の反証を挙げて反論を聞きたいものである。その上で、宣伝用刊行物の意義でも論じ直していただきたい。
 自分は、本書にGHQが命じた以上の「焚書」行為、それもナチス以上の焚書行為を見た。ラス・カサスどころではない、文明に対する野蛮である。

 ところで、第七章は「略奪図書返還に向けて」とあり、焼失の憂き目を経なかった図書のその後を描いている。本シリーズでは採り上げない。

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