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2005.07.20

船橋西図書館判決:最高裁にHP掲載判決を聞いてみた

 船橋西図書館の判決については、法曹界からのコメントも出ていますね。その中には「最近重要な判決が続くので…」と述べているくだりもありますので、本記事はいささか乗り遅れの気味もありますが、法学の基礎としてひとつ確認したということを備忘、共有したくもあり立てることにいたします。
 あ、もちろん、上記判決の有効射程をきちんとおさえるための作業過程です。
 事前の「お勉強」は、指宿信ほか監修『リーガル・リサーチ』日本評論社,2003。最高裁に電話する前にかなり詳しい知識が得られました。

 最高裁の判決といえど、すべてが「判例」としての効力をもつとは限らないわけです。
 また、「判例集」と呼ばれるものも、最高裁の公式判例集(いわゆる民集、刑集)のほか、官公庁が刊行している判例集、民間の法律・社会科学系の出版社が刊行している判例集もあります。
 判例は、法律(制定法)・慣習法と並ぶ法源とされますが、何が判例として有効かは、実際にはその後の同種の事件の判決がどれだけ参考にするかでしょう。
 その中で最高裁の判例集がなぜ重要であるかといえば、裁判所の中でも最上級の裁判所の法解釈には、通例はその後の下級審はその判断に従うべきものである(拘束力がある)からです。
 ちなみに、最高裁が出している判決録は実は2種類あります。『最高裁判所判例集』(民集・刑集が合冊)と『最高裁判所民事裁判集』『最高裁判所刑事裁判集』です。前者は、最高裁判所判例調査会が重要な判例として選んだものが掲載されています。後者は、前者に掲載されなかった裁判でも、後日参考になると思われる判決を掲載しています。しかし、最高裁の部内資料で市販されていないそうです。詳しくは『リーガル・リサーチ』をご覧いただきたいのですが、ポイントは前者が有名な最高裁の「公式判例集」だということです。

 最高裁に電話して、お伺いした点。
 HPの「最近の最高裁判決」と「最高裁判例集」の違いについて。
 「ホームページについて伺いたいのですが」と交換の方にお伝えしましたら、係の方が出ました。

 「最近の最高裁判決」は、最高裁の判決すべてが掲載されているわけではないこと。掲載の基準は、各小法廷が判例として重要であるかどうかを決めていること(これは下級審についても同様で、各裁判所で判断しているそうです)。公式判例集『最高裁判所判例集』に掲載されるとは限らない、ということです。このページからは4ヶ月で消えてしまいます。

 「最高裁判例集」は、電話では『最高裁判所判例集』と内容は同じですかと訊くと、そうだと言われたのですが、『リーガル・リサーチ』によれば、正確には少し違います。上記公式判例集と、「最近の最高裁判決」に掲載された6ヶ月分の判決文を併せて検索できるそうです。再度確認しておきますが、この記述からすると、公式判例集と「最近の最高裁判決」とは違うということです。

 また、「最近の最高裁判決」は、要旨ではありません。全文です
 いくつかのHPでは、船橋西図書館事件の判決を「要旨」としてリンクを貼っているものがありますが、これは誤りです。
 ここは係の方に何度か尋ねたのですが、傍聴に行った折に聞いた、当事者と報道関係者に渡された判決(裁判記録)は、このHP「最近の最高裁判決」と同じだと言っていました(05.7.31追記。当ブログ内関連記事。上告人の井沢氏のサイトで公開されています)。
 ただもちろん、『リーガル・リサーチ』によるとやっぱり違いはあるようです。「最高裁判例集」は、「印刷体の(公式)判例集に掲載されている当事者の名前、上告理由書及び原審の判決文は収録されていません」とあります。「最近の最高裁判決」もこれに準じているのではないでしょうか。

 『リーガル・リサーチ』によると、公式判例集は判決から6ヶ月から1年後に収録ということになり、オーソライズされたものとして確認するにはかなり時間がかかってしまいます。
 しかし、最高裁第三の判例集といえる月2回刊の『裁判所時報』が重要判例を判決の1ヶ月後に掲載、「民集・刑集の速報として利用することができる」ともあります。『裁判所時報』と公式判例集の収録件数とを比較したことがある方、どの程度差異があるものなのかご教示くだされば幸いです。

 図書館屋としては、今回の判決は公式判例集に掲載されるだけのインパクトはあるんだろうなあと思ってしまうのですが、法律屋さんにとっては実際どの程度の重みをもって受け止めていただいているのか興味深いところです。
 ネットを徘徊していて見つけた記事もありますので、近いうちにリンクをまとめたいなーとは思っています。
 図書館界としてはおおむね、最高裁で公立図書館の役割について規範的な概念が提示されたことは大きな意義があると評価していると考えてよさそうです。日本の図書館界にとって歴史的なものとなったということは言えるでしょう。
 判決についての印象批評はまた別途。どうにも歯切れが悪くてすみません。

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Comments

にちわ~わてのブログむしろ前半がオモシロイんでそっちも読んでくださいまし~んでは~

Posted by: 書物奉行 | 2005.07.24 20:23

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