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2005.07.26

船橋判決の話としては、まず…(2)

※7/30に書いております。

 しかし、改めて確認すべき点は確認を。
 上告人側の論理を補強する点をもきちんと指摘しておくべきだろう。

・上告人「実質勝訴」「勝訴の見込み」と言うが、差し戻し審でひっくり返ることはほぼあり得ないので、上告人勝訴である。単に最終的な結論(損害額の算定)が出ていないので、「実質勝訴」という表現が誤っていないだけ。ちなみに、上告棄却をしなかった段階で勝訴の見込みは高かった。おそらく口頭弁論の段階で既に、最高裁(第一小法廷)は、「表現の自由」という重要な権利に関する判決を出しますよ〜という、パフォーマンスの色合いが強かったのだろう。

訴訟の正確な構図は、図書館を管理する自治体(政府)対著作者。実際に廃棄をした司書当人に対する上告は、既に処分がされているという理由で棄却されている(から、ややこしい…)。司書が裁かれたと取るのは勘違い。問題司書に対する判断は既に下級審レベルで下っているのだが、上告した理由は「原告の訴えの利益が法的評価の対象にならない」ために敗訴となったことにある。

上告人は何に勝ったのか?―公立図書館と、自治体である。著作者として。←ここがポイント。最高裁判決がどんな規範的判断を下したのか、丹念に見ておく必要がある(といっても、肝心の部分が短くて…それ以上ではありえないのが困ったところだ)。要するに「著作者として不公正な取り扱いを受けない人格的利益」が認められた、と言えようか。判決の該当部分を本記事末尾に引用しておく。

・繰り返しておくが、公立図書館=政府を相手取った蔵書廃棄訴訟はいくつかの類型がアメリカであることが既に紹介されており、これらは「図書館の自由」に関する裁判事例として認識されている(結論は事件毎の事実によってブレがあるが)。本件がこれに該当することはもちろん間違いなく、筆者も理由部分で公立図書館の規範的な役割について論じられていることが評価されてよいと考えている。問題は、最高裁が結論を導いた論理と背景に違和感があるのだ。

 以下「平成17年7月14日 第一小法廷判決 平成16年(受)第930号 損害賠償請求事件」より引用

公立図書館の図書館職員が閲覧に供されている図書を著作者の思想や信条を理由とするなど不公正な取扱いによって廃棄することは,当該著作者が著作物によってその思想,意見等を公衆に伝達する利益を不当に損なうものといわなければならない。そして,著作者の思想の自由,表現の自由が憲法により保障された基本的人権であることにもかんがみると,公立図書館において,その著作物が閲覧に供されている著作者が有する上記利益は,法的保護に値する人格的利益であると解するのが相当であり,公立図書館の図書館職員である公務員が,図書の廃棄について,基本的な職務上の義務に反し,著作者又は著作物に対する独断的な評価や個人的な好みによって不公正な取扱いをしたときは,当該図書の著作者の上記人格的利益を侵害するものとして国家賠償法上違法となるというべきである。

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