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2005.06.16

ある図書館の使い方(1)―『シスの復讐』とその予約

 読書ふっかーつ!なんて言ってみたので、自分の日常的な図書館利用のことを書いてみたい。前から書こうとは思っていたんだ。
 出版界の人に読まれたら、いいのかねえ、なんて思うところもある反面、そうせざるを得ないわ気にしてたらたまらん!という気分もあるので、紹介してみる。

 帰宅途上に本屋に寄り、『STAR WARS エピソード3 シスの復讐』のノヴェライズ(ソニー・マガジンズ,2005.4.)が目にとまった。
 時系列にクラシックシリーズをあとに控え、主人公がフォースのダークサイドに堕ち、ダース・ヴェイダーとなる謎をシリーズの終幕にもってくるわけだし、ルーカス監督も思わせぶりなこと(涙なくしては観れない映画だとかなんとか)を言っていた。手に取ってみると、なかなかに複雑な心情が描写されていて、読んでみたいと思わせられた。
 スターウォーズのエピソード3は、エピソード2との間に多くの挿話が正伝として入っているので、その意味でも劇場で見るだけでは十分理解できないところがあると思っている。しかしこの本、パラパラとめくってみただけでも、エピソード3に描かれるドラマだけでもけっこう考えさせられるものがある、という手応え。また、ストーリーを4月に刊行しても、劇場で「魅せる」自信がある、そんな作品なんだろう。楽しみになる。
 しかし購入しなかった理由は、後半で書く。

 帰宅して、図書館に電話で予約を入れた。職員の方の負担を減らすために、OPACで所蔵を確認、資料番号を控え、利用カードを手元に置いて、サラサラと。電話で3分ほど。
 実のところ、このご近所の図書館は電話で予約を入れて、本を借りるためだけにしか使っていない。その使い方のためには、一番効率的なやり方である。

 こんな使い方しかしないのも、単館の図書館として魅力がないからだ。来館して意味のある開架の棚作りどころか、蔵書構成は自治体の中央館・分館を含めたものとなっているらしい。そうなると、本との出会いの場としては図書館はまったく機能しない。自分の居住区に関係のない中央館・分館を含め、単なる閉架書庫と変わらないのである。
 目録の機械化・ネットワーク化もいいが、肝心の、物理的な場としての不合理を感じさせてしまうのでは、こんな使い方しかできないのである。メリットは職場からでも家からでもOPACがひけることくらいなのだから。取りおいてもらった資料をカウンターに取りに行くだけ
 その上、人口比との関係からすると、わが自治体は図書館の数があまりにも少ない。単館としての図書館、場としての図書館は、来館してみても確かに貸本屋・マンガ喫茶状態である。密集状態で並べられたパイプ椅子は満席(簡単な机くらいほしいもんだ…)、回転が早すぎる書棚。棚での本との幸せな出会いどころではない。

 翻って、読者、書店利用者の側の論理も書いておこう。
 スターウォーズの小説シリーズは長大なものばかり、正伝に近いものもハードカバーがほとんどだから、手が出ない。
 ハードカバーに「普通に手が出ない」というのには、二つ理由がある。
 ひとつは、友人がそうなのだが、本は好きでもモノを置く場所に困る(おそらくご夫人から言われてお小遣いも厳しいのだろう)ので、「文庫しか買えない」層がいる。これは意外に多いのではないか。
 もうひとつ、特に趣味や関心領域があって、もうそちらの購入をカバーするのでいっぱいいっぱい。ちょっとした読書のためにお金をまわせない。自分の場合は図書館学関連・法学関連の専門書、ヴィクトリア文化の資料、これにヲタク関係となると、もー厳しい。

 今回書店の棚を見て、『シスの復讐』だけでなく「またツライなー」と思ってしまった。「エマ」の影響か英国の社会・文化の専門書籍、「指輪物語」関係も新たな展開を見せていて、手堅い出版が続いているようだった。全部買っていたらきりがない。どうしよう…。
 新刊書店ではやむにやまれず、携帯電話のデジカメで奥付や背表紙を撮っている。図書館だけでなく、新刊書店の使い方も、現物と書誌事項を見せていただく場になっている。その後の入手経路は別途検討するからだ。図書館、オンライン書店とか。

 もちろんこの新刊書店さんでも、雑誌講読を頼んでいたり、そのまま買うことも多い。
 ごく最近では、福井晴敏『月に繭 地には果実』上・中・下,幻冬舎文庫,2001.の購入がある。「ターンエーガンダム」ノヴェライズの文庫版なのだが、あっという間に店頭からなくなってしまって久しく、ずっと探していた。今年は福井晴敏関連映画が3本も封切られるので、その余波で出してきたのだろう、目にしたときには即レジへ。なくなる前に確保、購入した(いまbk1で確認したら合本単行本が出ているじゃないか!ひどい!)。

 今回『シスの復讐』の予約は既に23件入っていた。楽しみにしている劇場シリーズとはいえ、自分の主領域でないとなると遅くても全然かまわない。ちなみに、ちょっと前に『荊の城』を予約したときは50件を軽く越えていたような…。
 こんな実情を無視した形で、出版界や著作者に「図書館貸本屋」説を安易に唱えられたりするのはたまらない。
 読者も苦労しているのである。読む自由、選択肢くらい残しておいてほしい。
 『シスの復讐』だって、読みたいと思わせるだけの、魅力のある出版であるだけマシである。「それ以外」をよく考えていただきたい。多くの人にほしいと思わせる本が少ない反面、手許に置いておきたい、購入したいと思う『月に繭 地には果実』だって、手に入らない業界なんだから。オンライン書店だって手に取れない以上万能じゃない。
 そういう様々な不自由があることも、よーく、考えてほしい。権利主張ばっかりしている連中は、「読む」ということをどう考えてんだろう。

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