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2005.06.03

船橋市西図書館蔵書廃棄事件の口頭弁論における疑問 (1)

 この記事の元々は、口頭弁論のあった6/2から書き始めたものである。公表は、自分なりに疑問に決着をつけた6/7になってしまった。
 なるべく簡潔に書くよう努める。調査の経過を書き始めたらきりがないから。

 上告人の意見陳述は、厳粛かつ熱意に溢れるものであった。まず、敬意を表したい。
 そして、その傍聴メモを起こそうかと考えている間に、西尾幹二氏のインターネット日録にて、裁判所に提出したという原稿をそのままアップしてくださった。6/4,5,6,7の「最高裁口頭弁論」(一)(二)(三)(四)である。そのフェアな精神にも心うたれるものがある。謝意を表する。

 さて、私の疑問の出発点は、次のくだりである。引用させていただく。

西尾幹二のインターネット日録:最高裁口頭弁論(二)

 じつは日本にも似た出来事があるのです。この赤い一冊の大きな本をみて下さい(私は裁判官の方に本をかゝげた)。アメリカ占領軍による『没収指定図書総目録』です。

 マッカーサー司令部は昭和21年3月に一通の覚え書きを出して、戦時中の日本の特定の書物を図書館から除籍し、廃棄することを日本政府に指示しました。書物没収のためのこの措置は時間とともに次第に大かがりとなります。昭和23年に文部省の所管に移って、各部道府県に担当者が置かれ、大規模に、しかし秘密裏に行われました。没収対象の図書は数千冊に及びます。そのとき処理し易いように作成されたチェックリストがここにあるこの分厚い一冊の本なのです。

(中略)

 戦後のWar Guilt Information Program の一環であった、私信にまで及ぶ「検閲」の実態はかなり知られていますが、数千冊の書物の公立図書館からの「焚書」の事実はほとんどまったく知られておりません。

(中略)

 「焚書」とは歴史の抹殺です。日本人の一時代の心の現実がご覧のように消されるか、歪められるかしてしまったのです。とても悲しいことです。船橋西図書館のやったことは原理的にこれと同じような行為につながります。決して誇張して申し上げているのではありません。

 自分の疑問の直感的なそれは、「GHQの焚書」説から、最後の「船橋西図書館のやったことは原理的にこれと同じような行為につながります」という部分の論理的飛躍である。
 図書館業務に実際に携わり、「図書館の自由に関する宣言」という現実と乖離した理想を日々意識している普通の図書館員としては、後者の日常業務と「GHQの焚書」とがつながっていかない。
 端的に、GHQの焚書は政府の命に図書館員が関わっていたかもしれない(そうではない例もあっただろう)が、それと今回の船橋の例を裁く問題とは違うという直感である。
 本件で争われているのは、船橋市が図書館の日常業務に関する裁量を許すかどうかではないのか。そして、かの問題司書の逸脱は焚書の例を引くまでもなく専門職の倫理からの逸脱は明らかであって、疑義もない。ただ、そこに著作者が口を挟む権原が存在するのか、ということが争点である。どこかずれている。
 しかし、自分が問題とするのは、次回採り上げる疑問の方であって、そちらの方が実質的である。

【当ブログ内船橋市西図書館裁判関連記事 20050610現在】
2005.05.23 船橋蔵書廃棄事件裁判。傍聴に行こうかな、どうしよっかなと
2005.05.28 最高裁の判断は、日本の図書館史に残るのではないか?
2005.06.02 船橋焚書事件、傍聴報告。
2005.06.03 船橋市西図書館蔵書廃棄事件の口頭弁論における疑問 (1)
2005.06.04 船橋市西図書館蔵書廃棄事件の口頭弁論における疑問 (2)

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