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2005.06.18

ある図書館の使い方(3)―論難に対する言い分・一と二

 前回、勝手に設定した批難に答えていくことにする。次のように設題。

 「予約制度があって、返却期限内に返しているとはいえ、繰り返し同じ本を借り続け、ほとんど占有しているいるかのような状態は好ましくないのではないか」。

 以下、借り続けている状態を正当化するための言い分を述べてみる。

 第一点。

 前回も触れたが、予約の制度でほかの利用者にも機会は与えられている。
 殊に、(1)の記事でも書いたように、「開架で品揃えを見せる」ことが有効に機能していない図書館では、開架に大きな意義がない。
 自分が使っている図書館の本ですら所蔵の有無はOPACで確かめるほかない。同じ自治体のほかの図書館であるかどうかもやはりOPACだ。もちろん貸出中かどうかも、予約の数でさえも「インターネット上のOPAC」で簡単に確認できる。こうなると、どこまでも「閉架式の図書館」に変わらなくなってくる。
 かつ、予約によって機会の平等は与えられているのだ、借りたい人は躊躇なく予約の手続をすればよろしい。
 開架であればすぐに借りられたかもしれないのに、という反論は、無意味である。他館本であれば取り寄せに「一週間は見てください」ということになるし、自館本を借りられていたとしても、前の借用者がどのくらいの期間(何度も)借りていたかは関係がない。
 差があるのは、数日間書架にさらすことによって、「開架による書棚での現物との出会い」が起きるかもしれない、というところだろうか。それがどれほど重視すべきものか、ということはこれまでも語ってきたし、次に挙げる第二点はいくぶん覆す論拠になろう。

 第二点。

 長期間占有していることを難ずるのであれば、不思議なのは、5冊を2週間で読み切ることができるという発想の方である。学生や児童書ばかりじゃあるまいし、必ずしも全部期間中に読み終えることができるとは限らない。
 もちろん、貸出最大上限冊数は、その冊数を読めと言っているのではないことはわかっている。そういう話ではなくて。

 図書館から「借りる」という行為は、どういうことだろうか?なぜ「借りる」のか。

 第三点にも関わるが先取りして言えば、「借りる」決断を振り返ってみると、全部読み通すかどうかわからないけれど、手許において自分に読む機会を確保しようとしている。
 「借りる」という行為は、「読む」という行為とイコールではなく、「手許にいつでも読めるよう確保する」という行為である。「借りる」と「読む」は混同してはいけない。
 「借りる」はむしろ「買う」行為に近い。但し、どこが類似している点であるかを見誤るべきではない。「手許に置いて読める機会を確保する」というところである。類似点を見誤ると、今度は「借りる」と「買う」が同じだ、というわけのわからない議論に巻き込まれていく。

 自分も、図書館からの貸出と自分で所有物として購入することとの線引きをどこにするか考えた。結局現状では、入手できる本は入手できる限り購入することにしている(これも幸い、仕事があるお陰だ)。
 図書館の本では、いざというとき使えないことがあって、不具合があるからだ。期限を越えると再度の貸出もできないなど、ペナルティにも気を遣う。その点、自分の本であればいつでも好きなように使える。
 自分の周囲にはよい古書店がないのだが、現在ではAmazonで古本も扱っていて、専門書でも「まさか手に入れられるとは…!」という経験が何度かあり、助かっている。

 したがっていま借り直し続けているのは、自分なりにもう手を尽くして、購入できない本ばかりになっている。図書館ならでは、「図書館に頼るしかない」本だと言える。
 そうなると、なおさら、この同じ"占有"の意味が、違う様相を呈してくる。購入しようと思ってももう入手できず、しかたなく図書館の本をお借りして、手許に置いているのだ。どうしても手に入らない、その「図書館の本」に意義や必要性を見いだしていることを強調しておきたい。
 入手できる本を入手することにこだわっても、図書館の意義はやはり存在するのである。
 当たり前のことのようでいて、…当たり前かもしれませんな。まあ、実感として。同じことを感じている方もおられるのではないですかな?

 しかし、なぜ手許に置き続けるのか?
 その第三点めを次回に。

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Comments

最近、ちょっとこまったことがあったので、一応反論を。

明日まで、または今週中にその資料を利用できなければ困る、というときに、予約では用をなさないのですね。
図書館に本があれば、どこにでも飛んでいくつもり(せいぜい隣接市区内ですが)と思っても、どの館所蔵のものも貸出中なら利用ができない。特にOPACの横断検索ができると、そういうことがすぐにわかるだけに、余計悔しい。

結局、本屋で立ち読みをして(その本がある本屋を見つけるまで5軒ほどまわりましたが)、複写などの必要なしと判断して事なきを得ましたが。

Posted by: kaw | 2005.06.21 at 23:43

 kawさんの例を意地悪に言うと、「図書館の本はなるべく借りられていない方がいい(急ぎの用の人のために)」ということになっちゃうのかなあ…。自分の前半の記事の文脈も近いものがありますけれど。後半の話と妙にギャップがあるんですよね。
 あと、急ぎのときは図書館の予約制度は使いものになりませんよね。各人の都合のいいようには制度ができてませんから。
 それでも、自分が使っている公立図書館は結果的にですが最速3日位で取り寄せてくれることがあります。

Posted by: roe | 2005.06.22 at 11:18

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