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2005.04.02

図書館と「法と経済学」(2) : 「法と経済学」の批判的理解

 まずご登場いただきますのは、かつて教えを乞うた人権派の刑事訴訟法の先生。彼が言ってることは必ずしも「法と経済学」に限らず、民法全体に対する憤りです。

 「民事上の損害賠償は、金銭賠償ってのが普通だよね。そもそも何か変だと思わないかい?」

 確かに、おかしいんです。金銭賠償ってのは、何か権利侵害があったものを、解決の方法を便宜的に金銭におきかえて、償うってことですから。権利侵害に対する請求はほかにも、原状回復請求とか、差止請求とか、ありますけどね。
 彼が扱っている刑事訴訟法の問題なぞ考えてみると、本当は「人権という利益を侵害しないようにする制度設計」がそもそもなくてはならないはずだ、と。毀たれた権利を金銭で贖うことが当たり前になっていること自体、非常に不思議なことです。
 これを「法と経済学」は(意地悪く理解すると)、元々民事法一般が「便宜的に」経済的な価値に換算する「しかない」と言ってるものを、制度設計上「積極的に法益を経済的価値に換算して解決する」ものと理解している、というように見えてきます。

 よく引き合いに出されますが、自動車保険の損害額の算定なんかは条件をポンポンと入れたら相場が出てくるんですってね。人間の価値を数値化する好例でしょう。
 それと、こんなニュースもあります。このひき逃げ犯の行動を量刑に対して合理的と正当化するなら、まったく「まとも」な行動になってしまうわけです。「身勝手」なんてのは記者の一面的な価値判断。制度設計からすれば、合理的に行動するから人数が増えているんでしょう。

ひき逃げ:人命より“処罰への恐れ”?昨年1年、過去10年で最悪53件/山形:MSN-Mainichi INTERACTIVE

 昨年1年間のひき逃げ件数が過去10年間で最悪の53件(検挙34件)に上り、逃走の動機として、飲酒や酒気帯び運転の発覚を恐れたものが増加していることが県警のまとめで分かった。背景には01年12月の危険運転致死傷罪の新設や02年6月の道交法改正による飲酒・酒気帯び運転の厳罰化があるとみられ、人身の救護より、処罰を恐れるドライバーの身勝手さが浮き彫りになった。

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