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2005.04.06

確認・著作権法の基本(3) : 著作権法って、経済制度なの?

 前回は「著作権=人権」説批判に力が入ってしまってしまいましたが、著作権制度を説明する上で、著作者財産権が憲法の保障する財産権「制度」の一部をなしている以上、著作権法の大きな側面として「経済制度」があるということは、既にはっきりおわかりのことでしょう。

 経済制度であるとすれば、どうなのか。
 経済活動において、社会的効用を最大化するための、市場のルールを定める。そのルールが「制度」です。
 経済制度のルールのもとに、プレイヤーは市場に参入して「権利」を行使し、利益を得る。紛争があればルールによって解決する。

 財産権としての著作権制度の問題は、個別具体的な憲法上の基本権の問題ではありません。経済制度をいかに設計するか、社会的効用を最大化するための(憲法上下位の)「ルールの設定の問題でしかない」のです。
 自分が以前の記事、著作権の問題を「ちまちまとした問題」と言ったのは、その意味です。ルールの公正さも含めて、そのときどきの社会事情において入手しうる情報を盛り込んで、実際の制度を設計すればよい。それを、調整しながら使っていく。それ以上のものでもそれ以下のものでもないと思います。
 つまり、「法と経済学」批判で言っていた厚生経済学、功利主義の立場を、ここでは受け入れてしまうワケです。経済学の問題なのか、規範道徳の問題なのか、という問いに対して、ここでは「経済学の問題でしょ」と。
 その意味では、「著作者財産権」の問題については、「法と経済学」を導入する余地は充分にあり得ます。経済制度については通常、厚生経済学は有効と考えられてもいるからです。

 別項「図書館と「法と経済学」(1)」で紹介している林紘一郎編著『著作権の法と経済学』は、経済学的分析を絡めながら著作権の歴史を追い、むしろ著作権者の側からのみの財産権追求に「待った」をかけています。
 経済学を適用することによって、法的に認められた利益だけでなく、ほかの利益も視野に入れるということは、確かに有益です。

 だけど…、やっぱり変じゃない?というのが本稿の目指すところ。
 だって、著作権法は、著作者財産権を定めているだけだとしたら、確かに経済制度とのみ言えますが、同じ法の下で著作者人格権についても定めています。著作権法全体についても、人格権的理解は無視できません。
 制度設計であると仮構した場合の経済学的理解も、限界があるでしょう。ひとつの理解であることは認めますが、その結果のほかの視点による再検証は必要です。
 だって、経済活動自体、人間の一側面でしかないじゃないですか。

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