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2005.04.04

確認・著作権法の基本(1) : 著作権って、人権なの?

 著作権法は、知的財産法の分野に属すると言うことは簡単ですが、単純にどういった種類の法律かというと、実はめんどくさい。刑事法という側面もあるし。

 ただまあ、著作権法で定める著作権が、著作者人格権と著作者財産権に分かれていて、人格権的側面と財産権的側面を扱っていることは、自分でもわかります。
 で、よく話題になるのは著作者財産権の方ですね。

 著作権の財産権としての側面ですが、ここでひとつおさえておきます。先の方で経済制度としての著作権法の話するんで。
 「著作権が人権だ」という説を唱えている方がおられますが、文脈を誤ると大変です。
 確かに、著作権?何それ?よくわからんなあ無視しちゃえ、という状況は問題です。その意味では、まるで著作権に無知な人々に対して「著作権はね、憲法に保障された権利、財産権(の一部)なんだよ」と唱えることは有意義でしょう。自分はその意味に限ってこの主張を認めたいと思います。
 しかし、そうは問屋が卸さない。「著作権が人権だ」という言明についてだけは、少なくとも一般論として自分は納得しません。あまりにも不正確、誤りさえ含んでいます。

 まず、著作権ではなくて、一般的な財産権の話を二つします。

・20世紀型の財産権保障は制度保障にとどまること。
・ジョン・ロックまで遡れば、自由に連なる人格の問題と結びついているから重要性があるということ。

 この二つの観点は、次回財産権問題を著作権に応用したときに関係してきます。

 そもそも、18〜19世紀的な憲法のもとでの財産権の絶対性と比較すると、20世紀型の財産権保障は、他の権利や「公共の福祉」との間で相対化されています。日本国憲法での財産権条項の理解としては、「制度的保障」とされるのが一般的です。つまり、具体的権利を保障するのではなく、権利保障のための制度を用意する、としか言っていないわけです。

 ジョン・ロックに遡れば、彼が自由との関係で所有権の絶対性を主張したときは、国家権力、絶対王政との対比においてでした。今でこそpropertyということばは所有権と訳されていますが、彼の原理論においては、三つのものを同時に指していたのです。いまの英語の辞書にも通ずる意味が書いてあります。

・(神授の)個人に固有な精神的「人格」。
 ←世俗王権から絶対に自由であるという権原。
・個人の人格にもとづく「特有な行為(労働)」。
 (→一般的自由。今回はあまり関係なし。)
・個人の労働から得た「成果物」としての所有。
 →所有権の絶対。ロックは貨幣化まで語る。剰余価値説の始まり。

 個人の人格から、その労働の成果物には所有権が発生する、と主張されていたのです。個人の人格をもpropertyと呼んでいることには注目を払っておいてください。

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