« 図書館学と情報学、法情報学(6) : 基礎法学と「法情報」 | Main | 図書館学と情報学、法情報学(8) : 図書館・情報学、ようやく »

2005.02.22

図書館学と情報学、法情報学(7) : 基礎情報学と情報の社会的認識

 「情報」といったときに、既にもうわけがわからなくなる。法情報学しかり、図書館情報学しかり。
 例えば法文=「テキスト」は電子情報であろうが紙資料であろうが、単なる文字記号の話だ。「情報」ではなくて、データや媒体レベルの話である。
 法を「"社会"規範」として、認識するプロセスや、共有するための制度設計の問題が法律学方法論や法情報学の課題である。それならば「法"情報"」ということばも生きてこよう。
 「法情報」は、社会的な認識と切っても切れない関係にある。その認識対象が、社会的共有を前提とするコンテンツであるだけに。

 ところで、図書館情報学の世界で「情報」を実体としてではなく認知モデルとして理解する考え方は、自分の場合、緑川信之『情報検索の考え方』勉誠出版,1999に負うところが大きい。
 自分にとって出発点となる、「法の認識」モデルについては青井秀夫『法思考とパタン』創文社,2000。図書館を含むパターン認識を情報学的に扱ったものとして吉田正幸『分類学からの出発』中公新書,1993坂本賢三『「分ける」ことと「わかる」こと』講談社現代新書,1982(もう古典ですね)。
 これらを経由して、緑川の認知型の情報モデルに接し、(勝手に)触発されている。

 このような認知型の情報モデルを、近年日本で話題にしたのが、西垣通『基礎情報学』NTT出版,2004だ。DNAの情報処理までさかのぼって、機械との別を踏まえ、生命体の認知あっての「情報」という考え方を提示して(考え方自体は既に「オートポイエーシス」ということばがあるようなのだが、自分はきちんと把握していない)、これを情報学の基礎に据え、機械的な情報科学だけでなく他の分野の学問との架橋を提案している。

 基礎情報学は、方向性は間違いないと思う。これまでの情報学に欠けてきたものをまさに埋める考え方である。
 しかし、基礎情報学だけでは本当は足りない。法学にせよ、図書館学にせよ、もうひとつステップが必要だろう。個体としての認識と、社会的に共有さるべき認識とでは、「情報」の意味は実は異なる。
 実際、その不確定性が混乱の元となっている節があって、機械的な情報科学が発達できてきたのも、「電子的なデータ処理」という意味での「情報」が、計量もでき客観的に揺るぎもしないからだ。

 法の認識という課題の中に出てくる、「パターン認識」という手がかりから、認知心理学に社会的認識の可能性を探ってみたことがある。しかし、認知心理学は児童心理と人工知能に研究の矛先が向かってしまっていて、残念ながら簡単には得るところがなかった(印象である)。法律学方法論のような規範世界でなくても、社会的な認知パターンの問題というのはあると思うのだが…。しかし現象学に行くと、もうわけがわからなくなる。
 空理空論の哲学ではなく、政治学でもなく、現実世界に容易に適用できる方法的な社会認識論は、いまのところ、自分の手許には、不十分ながら法律学方法論くらいしかない。どなたか、よい素材がありましたらご教示願います。

|

« 図書館学と情報学、法情報学(6) : 基礎法学と「法情報」 | Main | 図書館学と情報学、法情報学(8) : 図書館・情報学、ようやく »

「図書館」カテゴリの記事

「学問・資格」カテゴリの記事

Comments

トラックバックありがとうございました。
「図書館学と情報学、法情報学」の一連の記事について、実はまだ全文を読了できておりません。
前提として法学的なものの考え方が身に付いていないため、読んでいてなかなか先に進めないというのが正直なところです。
図書館(・)情報学以外に専門分野を持っていないということのマイナス面をこれほど痛感したことはございません。
改めて、プリントアウトなどして1章から通しでまとめて読ませていただこうかと考えています。

Posted by: MIZUKI | 2005.02.25 at 02:21

うちのブログにトラックバックいただいたのは(8)の記事からでしたが、間違ってこちら(7)の記事にコメントを付けてしまいました。申し訳ありません。

Posted by: MIZUKI | 2005.02.25 at 02:25

 MIZUKIさま、是が非でも読んでくださいとTB打ったのではないのです。
 考えるきっかけになった元々の「コンテンツ」に関する議論、そこから暴走気味になにかしらモノが書けたので、嬉しかったのでよろしければご覧ください、とお招きした程度です。
 我々に関係するのは、(8),(9)くらいではないでしょうか。それも明確には書けていません。途中の法情報に関する部分は(4)(5)辺り混乱もありますから、丹念に読むのは有用でないかもしれません。
 どうぞ、ご負担に感じられませんよう。
 一生懸命に書きましたけれども、論文のようなしっかりしたものではありませんから。

Posted by: roe | 2005.02.25 at 03:55

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/50734/2969989

Listed below are links to weblogs that reference 図書館学と情報学、法情報学(7) : 基礎情報学と情報の社会的認識:

« 図書館学と情報学、法情報学(6) : 基礎法学と「法情報」 | Main | 図書館学と情報学、法情報学(8) : 図書館・情報学、ようやく »