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2005.02.21

図書館学と情報学、法情報学(6) : 基礎法学と「法情報」

 法情報学二つの領域の前者のアプローチから見てくると、確かに、情報学的な観点で法学を見ることは無駄ではないように思われる。しかし、それは、法や政治過程がいかに「情報学的に」市民のものとなってこなかったかということの証明でもある。
 法学は、何をしてきたか。
 前提となる基礎的な知識は各主要法令の教科書にまとめられているわけだが、それを教えることで終始している。これは必ずしもリテラシーを教え込むものではない。基本六法の中には、年金改革法や著作権法は入っていない。それら、社会で生活を営んでいく上で必要な法情報を得るための「第二の知識」はどこにあるのか。

 法学は大別して二つの領域がある。実定法学と基礎法学である。実定法学は実定法の解釈学で、実定法の代表格である基本六法の習得が中心。基礎法学の内訳は比較法学、法制史、法哲学である。その法哲学には法律学方法論という領野が、マイナーだがある。法の認識、解釈の方法そのものを扱う分野である。
 もちろん、基本六法の解釈の方法を定型的ながら実践的に学ぶことは、社会に出てから法実務に役立つかもしれない。しかし、基礎法学から学ぶことは大きい。例えば英米法という科目。企業法務や海外ニュース、海外の映画を見る上でも、いまや英米の法文化を知るためには有力である。

 法律の解釈をはじめとする方法論についてはどうだろうか。
 「法の不知は赦さず」という原則があるが、仮にテキストをポンと目の前に置かれたとしても(それも網羅的な加除式法令集は通例、図書館にしかない上に)、その中身がよくわからないのに「知らないとは言わせない」とは、本来無茶苦茶な話である。
 法情報の社会的な配置について、本流たる実定法学は何もなしえてこなかった、というのが自分の見解だ。法学部生が基本六法で学ぶことは代表的な法に表れている原則だが、六法以外にも、市民が生活に必要な個別法令はいくらでもある。しかし一方で、そのような生活課題に収斂する方向に、法学教育の舵を切ることもありうるかもしれないが、これまたきりがない(こういうのとかこういうのとか…)。
 対して、法律学方法論は、「解釈とは何か」といった問題を扱ってきている。さまざまなレベルでの「法の認識」を扱う領域でもある。ここでいっている法は、法文のテキストではないことはもう自明だろう。人間社会で流通している、人間の頭の中に存在する「規範」だ。ささやかながら、「法(規範)の認識」を「法"情報"の認識」と言い換えておこう。
 自分の目には、法情報学とは、法律学方法論が射程に入れてきたことそのものではないか、と思える。単に、法学の世界でこれまでマイナーだっただけで、「法学の方法(法規範の認知)を対象とする学問」は、既にあったのである。

 そして少し先取りすれば、情報学と一体となるべき「図書館情報学」には、このような「図書館が扱う情報に関する方法論」が"ない"のではないか…というのが、自分の見解である。

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