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2005.02.18

図書館学と情報学、法情報学(4) : 法学と電子情報

 このシリーズ(2)で挙げた法情報学二つの領域のうちの前者。

 「従来の法学を「情報」の観点で考える」。

 ここに違和感を感じるのだ。これは、実は既に行われてきた法律学の方法論を、すっとばした議論に見えるからだ。
 法学の方法論の歴史を振り返ると、19世紀や20世紀初頭には既に、歴史主義、解釈学や現象学、言語学の影響を受けたと思しき記述はたんまりある。現実の利益世界に対応した、ことばの意味の解釈技術と概念構成については、実践に向けた社会科学である法学の十八番だったはずなのだ。
 問題は、ここでいう「情報」ということばである。何なのか。

 「電子情報」だろうか。
 正直言って文脈としてはミスリードなのだが、図書館情報学における「情報」の類比として、文学の世界でのそれを採り上げてみよう。
 文学の世界では、テキストの電子化によって、計量的に解析が行われるようになってきている。
 おそらく、「文学を「情報」の観点で考える」としたら、このような領域になるだろう。何という呼称になるのか、文・情報学とでも言うのか(冗談です。計量言語学でいいんですよね?)。

 具体的には、聖書とか、シェイクスピアとか。ヘーゲルについても、加藤尚武が電子テキストによって研究が進んだと随分昔に書いていた(加藤尚武『ヘーゲルの「法」哲学』)。
 シャーロック・ホームズの世界にすら、応用が既にある。全60編のうち作品世界においてワトスンの手になるものは57編、残り2編はホームズ自身、1編は第三者視点で書き手不明ということになっているが、文体分析をすると、同一の筆者であるということが推測できるのだそうだ。実際の書き手はコナン・ドイルであるということは了解した上での、シャーロキアンならではのお遊びであるが、「遊べる」くらいまで方法論が確立しているのだから頼もしい。

 このような「情報」観(電子情報)に立った方法論が法学の世界において示すところは、従来の国会会議録や法令・判例テキストの電子化・データベース化という方向性である。実際、このような方向性が実を結んでいることは諸兄の知るとおり。
 しかし、この成果そのものは実際には媒体がCD-ROMからネットワークに移行しており、「電子情報ネットワーク環境における法状況」といってよいから、実は「法情報学二つの領域」の後者にも連なる領域である。先に文脈としてはミスリードと言ったのは、そのような意味である。

 ところで、会議録や法令・判例テキストの電子情報化がなしたことの法学的意義はどこにあるだろうか。「法情報学二つの領域」の後者の領域=情報技術的な側面ではなく、前者の側面に力点をおいた意義があるはずだ。
 この点、「法学を情報学的に理解する」ための接点は、確かにある。そしてそれが、いかに「陳腐なオチ」であるかを、描いてみたい。

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