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2005.01.30

検索エンジンと図書館が提供する"コンテンツ"

 2005.1.22の記事「10,000 hit!(5):検索エンジンの活用法」での最後の私のコメントが長くなってしまったので、そのまま記事として起こしました。
 文脈は元の記事、その前の2004.11.14,11.15の記事も併せてお読みください。またどなたかコメントいただけるようでしたら、こちらの記事にお願いします。

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 りんどうさん、このコメントでのやりとりは非常に有益でした。11.14-15の記事で自分が言いたかったことをあなたがまとめてくださっていて…感謝。
 あとは、いくつかまた雑談(投稿者注・途中から本題になります)。

>そういう意味で、Googleの『イメージ検索』には私は否定的です。

 画期的なサービスだとは思うんですよ。自分でも、「緑幻想」の記事に書いているように、使っちゃってます…。
 それだけに、もったいない。でもまあ、お客さんの目からしたら「使えるオマケ」なのかな。
 自分は目くじら立てちゃいますけどね。サービスの提供側だから、フィルタリングするんならちゃんとわかるようにしておくのがスジだろうと。

>検索サービス提供者は、コンテンツ内容に関わるべきではない
>と思いますし、関わり始めてしまうと留まるところがなく
>なっちゃうんじゃないでしょうか。

 これは、検索エンジンはそうかもしれませんね。
 でもまあ、プロバイダ責任法みたいなもんができてしまって、プロバイダは人力でフィルタリングやってるそうで。
 そして実際、際限なく始めてますよね。Googleはカテゴリ検索ありますし。アメリカの大学図書館の電子化に絡めて、電子図書館に踏み込んできています
 昔の記事を漁ると、Googleの創業者は「Googleはインターネットの図書館員をめざしたい」とはっきり、繰り返し言っている。

 以下は、(1.22の元記事の)「検索エンジンの活用法」という本題からずれまくってますんで、りんどうさん、レスは不要です。おもしろければいいですけど。
 で、長くなったこともあるので、記事としてそのまま再掲しますね(投稿者注・本記事です。以下今回の本題)。


 逆に図書館の世界でもこういう発想でしっかりと攻めていった方がいいと思うんですよね>図書館関係者の方々。
 文字記号の検索とコンテンツ検索が、実は同じものでないという発想。

 蔵書目録の書誌レコードはコンテンツではないにせよ、果たしていったい「情報」なのかも実は判然としない。検索しているモノは記述されたフィールドに収められた文字記号以外のなにものでもないけれど、その検索対象ってフルテキストじゃない。一定の「人間の判断」が入った抽出。目録規則によるとこんな記述のできる本があるよ、と言っているだけにすぎない。
 まして、コンテンツとしてのデータベース全体、収められたレコードを群としてみると、なんらかの判断があって成り立っている集合なんですが、その判断がわからないとコンテンツにならない。図書館の蔵書目録でいうと「この図書館でもっている本がわかります」と言っているだけに過ぎず、「どんな本があるか」は調べてみなければわからない上、検索のしかたによってはヒットしないかもしれないってな具合。
 さらに、「知識」に連なる普通の意味での「情報」の検索=「コンテンツ」提供=レファレンス、となると…、少なくとも「機械的な文字記号の検索ではない」はずなわけですよ。
 じゃ、何なのか。
 そこだと思うんですね。機械で自動化できる検索があって、逆に「情報」の検索・提供って何だろうってのは。

 「図書館・情報学」もかじってみましたが、なんだかいい加減な学問だなあというのが実感です。
 正直言うと、法学以下。人間にとって「意味」をもった概念操作が大事なのに、意識的に技術として成熟させないまま、電子技術に圧されまくっている。
 さもなきゃ、Googleに負けるの当たり前ですよ。機械じゃないところが図書館の意味なのに、機械で張り合ってどうするんだっての。国会図書館がWebページのクロールを始めると言っていますが、バカだなあと思っています。「保存」も図書館のキーワードのひとつだけれど、それは別に「図書館だけ」に属しているテーマじゃない。機械的なクロールなら民間にも既にありますし。クロールした電子的な情報資源に対して、図書にやっているような記述や主題分析なんか始めたら大変なことになる。労力を投入して役に立つのかどうかさえわからない。
 機械でできないこと、これを追求しないと。図書館は機械を道具として使ってきたけれど、機械にできないことで何をしてきたか。何ができるのか。何をすべきなのか。それこそが図書館のコンテンツだと思うんです。
 個々の書誌レコードの記述における判断、蔵書構成における判断。文字記号が示すコンテンツの単位としての物理的な資料(本、雑誌記事)とそれを集積させて蔵書とする「意味」、社会的な「目的」。「これらを意識してコンテンツとすること」が図書館の活きる途だと自分は思っています。

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Comments

こんにちは。
レファレンスにおいて、当該分野についての知識が豊富ならともかく、知識に乏しい状態で目録に記されたデータのみを使用して必要な情報を探し出すというのはかなりバクチに近い仕事だと常々思っております。
「機械的な文字記号の検索」はあくまで必要な情報に行き着くための手段のひとつに過ぎません。最後に適切な情報のにおいをかぎ分けるのは図書館員の経験というのはよくあることです。ただ図書館員の職人性を強調しすぎることは図書館情報学の学問性を否定することにつながると考えられるので、あまり良いことではないかもしれません。
Googleは現在のところ、もっぱら上に示したような経験の不足を補うためのツールとして便利に使っていますが、単に「Googleは機能も充実してきて便利便利」で済ませてしまうだけだと、いつのまにか「Googleがあれば図書館員はいらない」ということになりかねません。
今後を考えるとやはり、アメリカの図書館のように今のうちにGoogleさんと親しいお友達になっておくのが正解なのではないかと個人的には考えています。

ちなみに本筋とはずれるかもしれませんが、NIIのWebcat Plus(http://webcatplus.nii.ac.jp/)についてはどのようにお考えですか?
文字記号とコンテンツとを結びつける試みとして、かなり有用なツールであると思うのですが。長文になり申し訳ありません。

Posted by: MIZUKI | 2005.02.02 at 02:38

 MIZUKIさん、コメントありがとうございます。
 遅い時間の書き込み、「長文」から、自分が投げた記事に何かしらひっかかるものがあってコメントいただいたのではないかと、こちらでは勝手に想像しています。
 なお、「長文」は、自分が長いので気にはなりません。自分のは簡潔に的を射た書き方ができない、能力に欠けるからですが、それでも、言を尽くす方が誤解を避けるためにはいいのではないかという姿勢でいます。かえってわかんなくなるだろー、という声も耳の奥で聞こえますけど。
 では、いただいたコメントにコメント。

1) Googleについての最後の文については、同じ立場です。
 2004.11.14付記事、2004.1.21付記事のコメントでも、「Googleについてもっと知りたい」と書いたつもりでいますが、個人としてだけでなく、図書館屋としても変わりません。
 ただ元記事の主旨は、図書館と並べた「情報提供者」の立場からすると、「実は限界のある道具だったり、不親切だったりしませんか。反面教師になりますよね、まして同レベルで張り合ったりするのは筋違いでしょう」というところにありますね。

2) 「「機械的な文字記号の検索」はあくまで必要な情報に行き着くための手段のひとつに過ぎません」という箇所は、「図書館員はそんなこと(Googleが限界ある道具にすぎないこと)はわかってますよ〜」という表明かしら。

3) 二つの箇所に注目しました。
 「レファレンスにおいて、当該分野についての知識が豊富ならともかく」「ただ図書館員の職人性を強調しすぎることは…良いことではないかもしれません」。
 自分が本記事で言いたかったことは、この間にあります。専門的な主題知識と、図書館員の、正確に言えば「物理的な資料に詳しい職員」の経験知。

 逆に、MIZUKIさんは、この「間の部分」はあえて触れずに、知識・経験が足りないところをGoogleで補うことがあるけれど、頼りすぎるようになったらまずい、とおっしゃっている。
 この警戒感から、最後の「Googleと友達になっておきましょう」という一文につながる、という論理に。こんな理解でよろしいでしょうか。
 だとすると、あまり問題意識は違っていない。本記事の主旨はその先の「Googleも使える道具になってくれよ、図書館だって問題あるんだけどさ」というところまで言うのですが、その前までは同意できると受け取ってよろしいでしょうか。
 むしろ2)が言いたいことなのかな。

 自分は、この「間の部分」が大事だと思っていて、それを「図書館・情報学」に期待しましたが、誤っていた気がしています。というか、この「間の部分」にこそ、図書館をやっていく上で学問的な理論が必要だと思ってるんですが…。それあってこそ、Googleのような機械を「道具として使う」ための論理が成り立つのではないでしょうか。
 でも、「それ」と言っても、ちゃんと書いていないから伝わりませんね。
 項を改めて、そのうち関係した記事を書くので、また読んでください。

 Webcat Plusについては、不勉強です。使っていて便利ですが、Googleのように一種気味が悪い。もちろん「図書館のコンテンツ」につながる有用な「道具」だと思っています。
 でも、申しわけないけれども、この記事で強調したいと思っている「図書館が売りにすべきコンテンツ」とはちょっとズレるかも。Webcat Plusから得られるものは、一種の主題書誌で、図書館が提供するのはその観点から提供する「資料」ですよね。
 たぶん、MIZUKIさんはGoogleよりは主題性を埋めてくれる道具になるのでは、とおっしゃっているんじゃないか…だとすれば、それはそのとおりではあると思います。

Posted by: roe | 2005.02.04 at 01:24

>自分が本記事で言いたかったことは、この間にあります。
>専門的な主題知識と、図書館員の、正確に言えば
>「物理的な資料に詳しい職員」の経験知。

おっしゃる通り、知識と経験だけが全てではないと思います。じゃあ「間の部分」を埋めるのは何だ?ということについて答えを見つけられずに前出のようなコメントに逃げてしまったのを「見抜かれたか!」という感じです。

>「図書館員はそんなこと(Googleが限界ある道具に
>すぎないこと)はわかってますよ〜」という表明かしら。

これもご指摘の通りです。いわゆる図書館の土壌ではない(?)Googleが図書館業界に挑戦するかのようなサービスを試みているのが悔しいという心の表明でもあります。(^^;)
ただ、そうやって居直るだけでは図書館(図書館員)もサーチエンジンも進化しないと思うので、お互いのために将来につながる協力関係を結んでおくのは良いことだと考えています。「Googleさんと親しいお友達に」と書いたのはそういう意味です。

>自分は、この「間の部分」が大事だと思っていて、
>それを「図書館・情報学」に期待しましたが、
>誤っていた気がしています。

私は理論としてきちんと図書館情報学(※)を身につけておらず、職業技術として修得してしまったようなところがあるので、この学問の現状に対する不満を表明するためのきちんとした言葉を持っていません。こうした事実がまさにroeさんの憂いなのだろうと想像しております。
ただ、自分の仕事の関係で研究を職業とする人と交流を持った印象から、現場で物事を実践して先に進んでいくには十分な試験研究による検証が欠かせないと考えているので、現場に将来的に結びつく形であれば理論の裏付けを継続して行うことにはそれなりに意味があると思います。

※「図書館」と「情報」の間に中黒(・)をつけるか否かについては流派がありますが私はつけない派で育ってしまったのでご容赦下さい。

Posted by: MIZUKI | 2005.02.05 at 11:04

これまた今頃コメントさせてもらいますが、最近私はGoogleの『総まくりできない状態』に、ついに嫌気がさしてきました。
ちまたに言うGoogle八分とか、深い階層を検索してくれないとか、別にGoogleだけの話ではないんですが、今まで私がGoogleを多用してきただけに気になってしょうがないのです。

もちろん、もともと有益な情報を得るためには、やみくもに検索するよりも、調べたいテーマに関して優秀なハブページをまず検索で発見して、そこから自分で拾っていくのが一番なわけですが、その『ハブページ探し』がすでにままならない状態になっている気がします。

そんなわけで、最近私が見直しつつあるのは、今更ながらの[AltaVista]。(^^;;;
…まぁそれは極端としても、ググって見つからない情報が、gooとかで再検索してみると、結構あっさりみつかったり。
このままだとGoogle危ないんじゃん、と個人的に思ったりしてます…。

Posted by: りんどう | 2005.06.14 at 04:42

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